羽越本線の電化に伴い、米坂線から仮設の線路を使って搬入されて以来、50年以上に渡って大切に静態保存されている「デゴイチ」ことD51 735号機の元を尋ねた際のレポートになります。
▲2026年10月18日の一般公開の様子。通常は閉じられているシャッターを全て開き、D51 735号機を拝むことが出来る状態となっている。
1943年:日本車輌名古屋工場で落成(製造番号:1137)新製配置:長岡機関区
1947年:上越線電化に伴い従来の長岡機関区が第一機関区(SL,DL)と大二機関区(EL)に分割、735号機は第一機関区に所属する。
1959年頃:長野工場にて長工デフ(N-2型)を取付。
1964年頃:長野工場にて重油併燃装置・重油タンク(1500ℓ)を取付。
1967年:坂町機関区に転属。
1971年冬:仮設の線路・建屋を設置して現在の場所へ搬入される。
1972年3月:廃車(書類上の手続き)
1984年:建屋改修(ガラス戸などを設置)・腕木式信号機(仙山線で使用されていたもの)を設置。
落成から一貫して新潟県内の機関区で活躍し続けた735号機。重い雪に耐える丈夫な建屋とシャッターに守られているだけあって状態は極めて良好です。
当機の保存活動に携わっている「さかまちSL保存会」様では、今回の展示にあわせ735号機の清掃活動を行っており、廃油でボイラーやキャブの磨き出し作業を行い艶のある仕上がりとなっておりました。
外見上の一番の特徴となっている"N-2型"と呼ばれる除煙板は、一般的にはこれを開発した国鉄長野工場にちなんで「長工デフ」と呼ばれています。
N-2型は除煙板前側の支持脚が丸棒となっており、手すりとしての機能を兼ね備えているようです。後部は通常の鋼材(各棒)となっており、前後で形状が異なっているのも特徴です。
新潟管内のD51でこのN-2型除煙板を備えていたのは、1960年代初頭の時点で新津機関区の135号機、長岡第一機関区の324号機、そしてこの坂町機関区の735号機のみであったそうです。
今回の一般公開では晩年坂町機関区に所属しており、1988年に動態復帰した498号機が実際に取り付けていた「うるおいの新潟」号のヘッドマークを取り付けて展示されました。
加えて、時間帯によって「あけぼの」「日本海」のレプリカヘッドマークと交換するといったイベントが行われており、来場客を楽しませていました。
▲1990年に新津‐坂町間で運行されたD51 498号機牽引の「うるおいの新潟」号のHMを取り付けた735号機。
▲機関手側の窓に取り付けられた旋回窓の様子。なだらかな外板のカーブに対し直線的な鋼材があと付けされているのが分かる。
機関手側の旋回窓は、取付に際して鉄板を付け足して対処した形跡が残っていました。同様の痕跡は助手側にも見られますが、旋回窓は設置されていませんでした。
撤去した記録がない事からおそらく静態保存前の整備時に予備部品として保管するために取り外してしまったものと推測されますが、そうなると今度は「なぜ機関手の旋回窓はそのままなのか」という疑問が浮かんできます。
静態保存機として失われやすいナンバープレートや灯火類などが一切失われていないのに、現役当時の写真には取り付けられている事を確認している「助手側の旋回窓」だけが通常のガラス窓になっているのはとても気になります。