このページでは、鉄道模型初心者の方向けのノウハウをまとめています。記事は随時追加してゆく予定です。
▲H5系新幹線(160分の1)とE351系「スーパーあずさ」(150分の1)。在来線車両のほうが大きく見えてしまう例。
▼HOゲージのDE10(手前)とNゲージのDD51(中央)とDE10(奥)。
一般的に鉄道模型は実際の鉄道車両を模して作られた製品が数多く出回っています。鉄道発祥の地であるイギリスをはじめ、歴史的に鉄道が国家の発展に大きく関わってきたアメリカや、世界随一の技術大国であるドイツなどの先進国に多くの愛好家がいるとされ、その多くは縮尺が80分の1前後、レールの軌間は16.5mmである事が多いようです。国によって「OO(ダブルオー)ゲージ」であったり「HO(エイチオー)ゲージ」であったり呼び名は様々です。
日本では軌間が9mm、縮尺が150分の1(新幹線は160分の1)の「Nゲージ」が主流となったのは主に「家が狭いから」と言われています。よく「押入れ」に入るサイズでジオラマ付きのレイアウトを作成するのが目標とするユーザーが多かったのですが、この寸法でレイアウトを作るとカーブがきつくて実感的とは言えず、無理な配線をしようものなら容易に脱線が起きてしまいます。
近年はCAD(コンピューター支援設計)の導入やCNC(コンピュータ数値制御)による微細な金属加工技術がプラスチック射出成形技術とともに発展したことで、Nゲージにおいても安定的で高品質な生産を可能としました。
そして、白色LEDが照明として用いられるようになった頃から前照灯・尾灯・ヘッドサインなどの灯火類や室内灯にもこれらの電子部品が用いられる様になったことで、建物からホームの照明なども実感的なものとなっています。
おおむね10年以上前に製品化されている商品については、同じ車両をモチーフとした模型であっても製品化する時の最新技術を盛り込んで大幅なリニューアルを行うことがあります。
例としてKATOから発売されている「キハ58系」を例に解説させていただきます。これまで40年近く同じ金型を使用し、ライトが点灯する仕様に変更したり、キハ58から改造されたジョイフルトレインなどのカラーバリエーションを展開することで長らく愛された製品でしたが、2018年に金型から足回りまで完全なリニューアルを経て現行製品がラインナップされました。
それまで主流であった台車に取り付けられていた連結器(カプラー)は車両の床板側に取り付けられる方式(ボディーマウント)に切り替わり、屋根上のベンチレーターも別部品となった事でこれまでの製品とはパッと見ただけも新旧の判別が付きますが、遠目だと区別がつかずに手に取った段階で「あっ!」となることもしばしば。
新品で購入する場合は旧製品が置いてあるお店はまずありませんが、中古品の場合は生産時期がかなり昔の物も混在している場合がありますので、気をつけねばなりません。
店舗によっては店員さんの知識不足から商品説明に問題があるケースも散見されますが、フリマアプリやネットオークションにおいても同様の問題が起こることもありますので、購入時はよく下調べをして購入するべきでしょう。
なお、このようなリニューアルが行われた場合、メーカーの公式HPではこれまで掲載されていた製品情報が削除される場合もあります。頻繁に公式HPをチェックしている方の中には、このあたりの動向で新たに発表される製品を予期する方もいるんだとか・・・。
▲手前はキハ28(品番:6115)、奥は旧製品のキハ58(T)(品番:616)遠目で見るとカプラーの違いだけの様に見えますが、よく見てみると様々な違いが見られます。
▲キハ28(現行製品・手前)とキハ58(旧製品・奥)の床下を比べた様子。スナップオンとなった台車、ボディマウント式のKATOカプラーがパッと見での違いです。
▲神奈川県横浜市のレンタルレイアウト「プラスポート」にて
日本国内においては、鉄道模型を楽しむ手段として「レンタルレイアウト」、すなわち車両を持ち込んで走らせるジオラマ付きのレイアウトが各地で営業しております。
その分布は首都圏などの大都市圏に集中していますが、その理由は家が狭いからという理由よりも鉄道模型を趣味とする人口が大都市圏に多いからという事であると思われます。
「レンタルレイアウト」は主にNゲージのユーザーをターゲットとしていますが、近年はHOゲージ用のレイアウトを併設する店舗もあり、楽しみ方はさらに広がっていると言えるでしょう。
鉄道模型を始めるにあたって最適なのが「スターターセット」。鉄道模型の車両や線路、そして走らせるためには欠かせない電源(パワーパック)がセットになっています。
説明書の他にレイアウトの拡張プランなどを紹介する冊子が同梱されているため、「この次は何を買おうかな」という時に便利なので、捨てずに取っておくことをおすすめします。
ただし、セットになってるからと言って割安であるかと言われたらそれほどではありません。初心者向けに「廉価版」になった車両が同梱されている場合もあるので、公式サイトの情報やパッケージの説明をよく読んで購入されることをおすすめします。
なお、私は車両とレール・パワーパックは別々に入手して鉄道模型をスタートさせました。
▲たまたま大手リサイクルショップに中古で販売されていたTOMIXのベーシックセット。某玩具量販店のオリジナルパッケージと思われます。
▲かつてKATOから発売されていた「パワーパック スタンダード」。
20年近く愛用していたが、現在は手放してしまっている。
▼本来はZゲージ用のロクハン「トレインコントローラーRC-02」。コンパクトで常点灯にも対応できる反面、出力が小さめ。
鉄道模型は基本的に直流(DC)電源を使用しており、コンセントの交流(AC)100Vを降圧・整流して線路に供給する制御装置の事を「パワーパック」(メーカーによって異なる)と呼称しています。
かつては本体に内蔵したトランス(変圧器)とトランジスタを使用したものが主流でしたが、現在では降圧・整流をまとめて行ってくれるACアダプタとマイコン(マイクロコントローラ)を使用したものが一般的になっています。
ただし、「鉄道コレクション」や「Bトレインショーティー」といった一部の車両では、乾電池駆動のパワーパックで使用できる仕様のモーターが用いられており、低い電圧でも走れるようになっている場合があるものの、それに適したパワーパックは現在店頭に並んでいない場合もあります。その場合は他のパワーパックを使用しても問題ありませんが、スピードを上げすぎて脱線したり、空転して足回りを傷めてしまう可能性が考えられます。
私はKATOで鉄道模型を始めたのでレールとパワーパックはKATOで揃っていましたが、ここ最近は部屋中に線路を張り巡らせるような事もあまりしないため、本来はZゲージ用の「RC-02」というパワーパックを愛用しております。
単4乾電池×8本の電池駆動と専用ACアダプターからのDC10V供給から選択できますので、出先で卓上走行をさせる場合や、レンタルレイアウトで足回りのメンテナンスをする際は電池を搭載した状態で持ち出します。
ロクハンのコネクタはKATOのコネクタと似た形状をしているために、簡単な改造をするだけで接続ができるのが嬉しい所です。
Zゲージ用であるために電圧が低めで出力も800mAと小さいのですが、長編成で走行させるわけでもなくメンテナンスや卓上でのちょっとした走行テストという目的においては十分な性能であると言えます。
また、停車時も室内灯やライト類が点灯できる「常点灯」ができるパワーパックはパルス制御(PWM制御とも)を採用しており、その周波数も20kHz~100kHzとすることでモーターから発生するノイズが人間の耳には聞こえない帯域に設定されています。