鉄道模型(Nゲージ)では「アーノルドカプラー」という独アーノルト社の採用していた連結器が今でも販売状態で取り付けられているメーカーが存在します。
連結器を交換することは鉄道模型のカスタマイズの第一歩です。思い切って手を加えてみましょう。
▲密着連結器を持つE657系電車の前頭部。使用しない時は本体を車体側に格納して固定することができる。
日本国内においては、一般的な鉄道車両の連結器には「自動連結器」「密着自動連結器」「(柴田式)密着連結器」の3種類が用いられており、貨物用の機関車・貨車には「自動連結器」、客車・気動車には「密着自動連結器」、電車・新幹線には「密着連結器」が用いられています。近年では各社の気動車・ハイブリッド車・蓄電池車のような非電化区間向けの車両でも電気系・空気系の配管をワンタッチで連結するために上記の連結器に加えて「電気連結器」などを採用するケースが増加しています。
中間車においては、点検や検査といった機会でしか切り離しを行わない事から「棒連結器」「半永久連結器」という棒状の連結器が使用されますが、模型においてはその限りではなく先頭車と同じ形状の連結器を採用するなど、アレンジが行われる事が多くなっています。
Nゲージの黎明期(1960年代)にドイツの模型メーカー・アーノルド社が自社製品の連結器として考案したのが「アーノルドカプラー」です。
実際の連結器とは似ても似つかない形状ですが、この連結器の魅力は何と言っても「突き合わせるだけで確実に連結できる」ことです。
ナックル部分には上下左右に動く「遊び」があり、コイルばねによって中央に戻ってくる構造はとてもシンプルです。
歴史が長く子供でも扱いやすい事から多くのメーカーで採用されているこのカプラーですが、その使いやすさが「大きすぎて見た目が悪い」という最大の欠点となっているのもまた事実です。
近年はリアリティの追求のために各社独自のカプラーを開発・発売をしているものの、新品の状態ではアーノルドカプラーを装備している製品が多くなっています。
これは「オプション」としてリアルな外観のカプラーへ交換できるようにして、ユーザーがリアリティを追求できるような戦略を取れるようになっているためです。
ちなみにドイツ語読みでは「アーノルト」、英語読みでは「アーノルド」となっており、日本国内のメーカーは専ら「アーノルド」と表記しているようです。
▲KATO 8075-3 コキ107(テールランプ付)の台車。アーノルドカプラーが標準装備となっている。
▲KATO ナックルカプラー(左)とアーノルドカプラー(右)の比較。
▲KATO 10-971 マンガッタンライナーIタイプ 4両セット の箱出しイメージ。先頭車についてはダミーカプラーを採用している。
一方で「連結器」なのに連結することを想定していない「ダミーカプラー」という存在があります。
鉄道模型においては、実感的な見た目を重視する箇所とそうではない箇所が存在し、電車などの先頭部においては通常他の車両との連結を考慮しない為に、ダミー(連結機能を持たない)カプラーを採用するケースが一般的です。
これは連結可能なカプラーと比べてダミーカプラーは「見た目重視」であるためにサイズが小ぶりであったり、連結器を縮めて格納している状態を再現しているためです。
近年は機関車牽引の列車でも、最後部となる車両にダミーカプラーを用いることでブルートレインや客車列車の旅情を掻き立てる演出が可能となります。
しかし、客車や貨車では「連結できない」連結器を装備してしまうと、いざ「連結させたい」と思っても連結させられないという残念な事態も発生し得ますので考えものと言えそうです。
通常連結器は車体の床下に装着されているものですが、Nゲージのカプラーでは台車にカプラーを取り付ける方式(以下「台車マウント」と表現)が主流です。鉄道模型は実車よりも急曲線を曲がるケースが多く、車両間隔を詰めすぎると車体が接触し脱線のリスクが高まってしまうためです。
国内メーカーで「ボディマウントカプラー」が採用されたのは、1991年にTOMIXの253系「成田エクスプレス」が製品化された際に採用されたTNカプラーが最初とされますが、TOMIXにおいても貨車については現在も「台車マウント」が採用されています。
ボディーマウント方式のアーノルドカプラーは欧州型の一部で採用されてはいるものの、初心者でも扱いやすい「台車マウント」+「アーノルドカプラー」の組み合わせは現在でも「鉄板」で有り続けているのです。
▲TOMIX 9530 オハネ25-0(北斗星・JR東日本仕様)の連結器まわり。アーノルドカプラーをKATO 11-721 KATOカプラーNJP A に交換済み。
▲KATOの台車・TR23に装備した「かもめナックル」(左)と「KATOカプラー N」(右)の比較。
KATOでは長らくアーノルドカプラーからの交換用として独自の「KATOカプラー」を発売しており、現在も変わらぬコストパフォーマンスでロングセラーとなっています。
しかし、実際の柴田式自動連結器とは異なる姿をしていて実感的ではなく、「アーノルドカプラーよりはマシ」という印象がありました。
そんな中、2007年8月に発売された「ナハ10系 特急「かもめ」 後期編成」の最後尾に連結されたナハフ11用のASSYパーツとして発売されたのが「Z05-1376ナハフ11 かもめ ナックルカプラー 」です。見た目はより柴田式自動連結器に近いものとなり、KATOカプラーNと比べると違和感はかなり軽減されていると言えます。
対応する製品が製造されるタイミングでしか生産されないASSYパーツですが、再生産される度にすぐ売り切れてしまう人気商品でした。
人呼んで「かもめナックル」とパーツ名で呼ばれるほど知名度があるカプラーというのも珍しいと思います。これは色違いの灰色バージョンの「EHナックル」も同様ですが、濃灰色バージョンの「スロネフE26ナックル」については適用できる車両が限られたり、前2種の在庫がない時に仕方なく